一人しょうかん字で書けるぞ

経験を重ねること。慣れること。判断を任されること。大人になることとはそれだけであって、きっと人間の根幹を揺るがすものではないのだ。きっと、私を根本から変えてしまう得体の知れないものではないのだ。(中略)大学を卒業してから十五年後の、雄二の言葉。「人生は単純な方がいい」 単純にするにはどうすればいいか。簡単である。生き続けたらいい。良くも悪くも生き続けたら私を惑わす“可能性”はぐんぐん減っていくだろう。私が私と指切りげんまんした「成長しないって約束」がいつか時効になったとき、私は何を思うのか、何を思って過去の私を思うのか、過去をなぞり続ける私はそのことを考えるたび、自分で自分を欺くたくらみに、一人、口角を上げる。

携帯で書いた髪の毛むしりたくなるよな読書感想文が、案外ちせの尻すぼみ人生(の中のちせ)を救うんじゃないかにゃ。救いとか癒しとかきみはきみのままでいいんだよとか吐き気がするほど嫌いなんだけど、肯定せざるを得ない、物憂さ、たゆけさ。