体育祭特需

りんどんりんどん
岩戸のごとく
力を込める
ガラスの扉
かわいいわたしを
祝福するよな
電気の鐘が
響き渡るわ

ぴらぴら可憐な
隠蔽ビニール
砂糖と油と屑肉と
それにぱくつく
女子のお顔と
ゴムの食い込む
ふくらはぎ

コンビニ付属の
飲食コーナー
わたしはにこにこ
眺めます

八月暮れの
じりじりの中
か細いわたしは
汗を出さない
小豆の氷菓
片手に下げて
りつりつりつりつ
歩きます
過ぎ行く自転車
わたしの幼い
影を何度も
轢いていく
深い緑の
チェックの
スカート
華奢な柄をした
黒日傘

額の油で
くっついた
ぴらぴら伸ばした
前髪と
あだ名を連ねた
薄いTシャツ
手首に重ねた
太いシュシュ
わたしは一つも
欲しくない

深い緑の
チェックの
スカート
華奢な柄をした
黒日傘