おろさないままの傘もわたしのものになったから それでもう十分

読み掛けの本も見たいって触れ回った映画も実はわたしを引き止めないはずなんだ キンモクセイの匂いを今の気持ちのままで迎えたら あの冷たいあまい匂いを嗅いだら わたしは冷たいあまい心のまますっと首吊れるはずなんだ? いままでもこれからもきっとずっとほっともっとニェット 欲しかったアイシャドーを買えばまたすこししばらくお化粧する間もない日々が続くから すべすべした粉を眺めながらその分生きるのかしらって思う そうやって無理矢理ひきのばすわたしの毎日にうっかり絡まってしまったひとびとの笑顔がちせちゃんちせちゃん言ってくれる顔がどんどんどんどん歪んでいく あれこのここんなにも苦痛を振りまいたっけって首ひねって しばらく我慢して ついには